みなこ

男と女 人生最良の日々のみなこのレビュー・感想・評価

男と女 人生最良の日々(2019年製作の映画)
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とんでも素晴らしかった。熱情は表情で。人生という時間はその立ち居姿で。恋は小さな逃亡。私はたしかにあの時間を知っているし、あまりにも人生の若い時に知り過ぎてしまったのかもしれない。でも、この映画を観て涙できるから、それでよかったんだと思える。通っていた小学校の鉄棒が記憶よりも小さかった、はじめて抱き合ったあの部屋が、今日からの居住地なのかと錯覚できてしまうくらい、ありふれた部屋でしかなかったのかもしれない。例えばあの夜の帰りの電車も、ありきたりな夜のドライブも、会いに200km飛ばして駆け抜けた街も。それでも私たちはそこに生きていたし、それが、人生の全てだった。君を愛したことがただの全てだった。それを、私たちは知ることができて本当に良かった、それは美しいことなんだ。
私は最初の男と女を観ていないが、観ていなくても楽しめる。なんなら観ない方が良い。それから物語の証拠を掻い摘むように、彼らの初めの時間を観ようと思った。
みなこ

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