ぶみ

ウルフズ・コールのぶみのレビュー・感想・評価

ウルフズ・コール(2019年製作の映画)
3.5
アントナン・ボードリー監督、脚本、フランソワ・シヴィル主演によるフランス製作の軍事アクション。
「黄金の耳」と呼ばれる並外れた聴覚を持ち、フランス軍の潜水艦で従事する特殊分析官の姿を描く。
潜水艦映画は数多あれど、音を分析する班員にスポットを当てた作品は稀有なもの。
そして、その期待に違わず、潜水艦のシーンは、独特の閉塞感と僅かなソナー音の違いが再現されており、緊迫感十分。
その潜水艦シーンは、実は思ったほど多くなく、中盤は陸上での海軍の出来事が描かれ、そこでのやりとりも見応え十分である反面、突如挿入される恋愛シーンに蛇足感あり。
ただ、それもフランス映画らしいと言えば、許容範囲かも。
そもそもフランスの潜水艦映画自体が珍しいため、潜水艦シーンで響き渡るフランス語の会話も新鮮。
原題『Le Chant Du Loup』の直訳が『ウルフの歌』となり、邦題はそれをベースにしたものだと思われ、観終わってみると、その意味がじんわり沁み渡るのだが、流石にこの邦題では、どんな映画なのかイメージし難いのが残念なところ。
少々現実離れした展開が気になるものの、ド派手なアクションとは一線を画し、独自のポジションを確立しているとともに、「潜水艦映画にハズレなし」と言う神話に拍車を掛ける佳作。

〜狼の歌が聞こえる〜
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