蛇らい

トムとジェリーの蛇らいのレビュー・感想・評価

トムとジェリー(2021年製作の映画)
2.3
序盤、主にカットとパンするテンポとアニメーションの動きが早すぎて見づらい様な気がしていたが、本編が進むに連れて徐々に慣れたのか、抑制されてたのか、その点についてはクリア。しかし、オリジナルのスコット・ブラッドリーのスコアは流れず残念。

オリジナルの主に横スクロール、上下の動線で展開されるドタバタ劇とは違い、奥ゆきや斜め方向からのアプローチといった、実写作品ならではの演出をアニメーションと融合させることには成功している。

しかし、物語や演出方法ともに実写映画の手法にトムとジェリー側が迎合し過ぎている傾向がある。チーズの匂いを可視化したり、そんな古典的なネズミ捕り機使わないだろ、というオマージュにおけるビジュアルのチャーミングさとリスペクトは伝わるものの、トムとジェリーを主軸に推進しない物語にワクワクしない。

動物たちに人間と同等レベルの権利が与えられているのはおもしろい。働くという概念があったり、動物が捕まったら施設ではなく拘置所のような場所があり、面会も設けられていたり、社会の一員として迎えられ、それが当たり前の世界として描かれているファンタジックユーモラスな舵の切り方は見事。

オリジナルのアニメ的な暴力性を実写に持ち込んだときに、軽減させるという短絡的な折り合いの付け方に、うまくまとまればいいくらいの向上心の無さが透けて見える。
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