そーる

カセットテープ・ダイアリーズのそーるのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

アマプラにて鑑賞。

ヒューマンドラマx音楽ものの作品は
どうしても泣いてしまう、、、

80s後期のイギリスを舞台に移民系のパキスタン人の主人公が自分の夢を切り開く話。
ブルーススプリングスティーンの音楽とともに
10代の青春と葛藤、そして差別の中生きてゆく主人公を描く。

カセットテープを集めて、日記が書きたくなるというありきたりの感想しか出せないのだが、
それほど魅力的に写りました、、

一番残ったシーンはもちろん父と主人公が和解した瞬間です。
特に父の、『これからは自分の物語を書きなさい。(でも)我々のことも忘れないでね』
というセリフに涙せずにいられませんでした。

これは、この街を出て行きたい主人公を見た父の最大限に絞り出した愛です。
家族を、自分の生活をより良くしたいと国を捨てて出てきた父は家族を守る為に息子に対して保守的になります。
息子以上に差別を受けてきたであろう父は、なるだけ息子に危害が及ばないように、目立たないように生きなきゃいけないんだと怒ります。
そのため街を出ることも、夢を追うことも否定していました。
皆家族のために働いているのに、父さんだけ何もしていないじゃないか!と息子に当たられる父。
いくら家長的な父でも、家族の為に16年働いてきた会社をクビになった後に言われたら傷つくでしょう、、、
そんな時、息子の詩を読むのです。
父と子と記載されたもの。
その他何枚もその下にはありました。
きっと全部読んだのでしょう。

そうして息子の授賞式へ訪れた父は
息子が書いた"家族への愛"を聞くのです。

主人公が書いた詩はマットにこう言われています。
『お前の不遇を誰が聞いて共感するんだよ』と。
なのであの机に置いてある詩たちもきっとそのような内容だったのかなと思うと、
父が言った『これからは自分の物語を書きなさい。(でも)我々のことも忘れないでね』がとても刺さります、、、
家長的な考えの父だったとしても、
大切な息子への愛を父なりに表現した最愛の言葉でしょう。
おそらくこの関係性、文化的背景に置いてこれ以上の言葉はないかと思います。
それほど魅力的に感じました。


長く書いてしまいましたが、まずはカセットテープを集めるところからはじめようかな、、笑
そーる

そーる