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Winnyのdarumaのレビュー・感想・評価

Winny(2023年製作の映画)
4.1
これは青春映画だ…!私の様なWinnyど真ん中世代の中高年は勿論の事、若い人が観ても胸アツになると思う。

天才が天才を演じている。
東出昌大ほど、天才が似合う男は居ない。

最後まで観ると分かるのですが、
実際の金子さんは恐らく、わりと普通の方なんじゃないかと思います、見た目は。
ですが、凡人ではない。

凡人にはわからない凄さ、
共感とかじゃなくてもう理解を超えた凄さ。
だけど、
 あ、もしかしてそういう事なのかな…?
それを想わせる能力に、東出さんは長けすぎている。

ストーリー自体はどちらかというと三浦貴大さん演じる弁護士さんがメインで進みます。
これがまた、ど安定!!
似合いすぎている。喋り方とかがもうはっきりスッキリしてて気持ちいいほど。

ちなみに原作ではないかもしれないのですが、この弁護士の壇俊光さんがこの事件に関する小説を書かれています。で!なんとこの方「聖の青春」を観て、小説化を決められたそうなんです…!(おそらく映画の話が来る前に。それまではブログに綴っていたそうです)

東出昌大である必然性。

という事を観る前に知ってしまい、否が応でも期待値が上がる!!
そして見事にその期待値を超えてきた!!

(これは余談ですが、実際、時々羽生さんに見えた、笑)

とにかく孤高性と天才ぶりが似合いすぎる。
ひょっとするとプライベートも地続きなんじゃ…と思ってしまうほど。
ほんと、作品選びが合ってると思います。
(これはまだ事務所に所属してる時の作品じゃないかな…?とは思うんですが。どうかな?)

ストーリー自体は冒頭に書いたように、ちょっと青春みを感じた。
連想した作品は「滑走路」。
星が好き、飛行機が好き、という所からの連想だったんですが、
ああこの二人は、きっとあのまま大きくなった、少年のような心を持った人たちなんだな…と。
心がピュアな人の言動には、胸を打たれます。
最後、ちょっと泣きました。

開発することが「自己表現」という事が、凄いと思った。
とても腑に落ちた。
絵を描いたり音楽を作ったり、お芝居したりする人の事を表現者と言うと思いますが、

技術者だって「表現者」なんだ…!!

はっとした。
と同時に、とても嬉しかった。
(言われてみれば確かにクリエイティブではある。物を作り出しているのだから)

個人的に、私は祖父の影響でまさにマイコン時代にコンピュータを触ったことがあります。それが進路を決めました。
(今では全然関係ない事をしていますが…)
だから、小さな頃の金子さんの気持ち、よくわかる。
就職してからも、ああいう雰囲気の人を見た事があるので、なんかわかる…

そして、Winnyも知ってました(なのでこの映画が観たいと思いました。まず最初の動機はそれ、加えて演者さんが好みすぎた!)。
でも確かに良いイメージは無い。
世間ってそういうものだと思う。
壇弁護士の台詞に「一度有罪になると元に戻るのは難しい」というものがありましたが、まさにそれ。
私は事件自体は知らなかったのですが(逮捕されたり裁判したりの部分)、使うと感染する、みたいな話は聞いた事があって、おそらくそういうイメージだけが独り歩きして、私の様な印象を持っていた人はたくさんいると思う。

正しい事を知らないで、上澄みだけを吸って生きている自分が、あらためて恐ろしいなと思った。

製作にライツキューブが居て、めちゃくちゃ納得。
以前フィルマで別の作品に「ライツキューブ案件」と書かれていた方が居るのですが、なんかわかる。
映像や内容がちょっと昭和っぽくて、実話ベースというか(本作も実際そうだが)、ドキュメンタリーチックな雰囲気(何年何月、場所どこどこ、みたいな字幕とかの出方)が得意な会社だと思います。結構合ってたと思う。

それと、プロデューサーとして伊藤主税さんが関わっています。
デイアンドナイト、青の帰り道、MIRRORLIAR FILMS、DIVOC-12などを手掛けられている方です。
何となくわかります…!
(それも事前に知っていて、楽しみにしていました)

あと、配給がKDDIなんですよね…!これが絶妙すぎると思った。
Winnyと言えば映画の違法アップロード/ダウンロードのイメージありませんか?(私は少なくともそうでした)
それを、映画でも配信メインに扱ってそうな通信会社が配給してるという…皮肉でも戒めでもなく、これが売れそうと判断して手を挙げているのであれば、最高すぎる。

変な言い方ですが、ほんと、幅広い世代が観て、考えさせられるものがあるし感動できる作品だと思います。
特に、エンジニアの方に観て欲しい。
私は当時、ほんと何も考えてない普通の人でしたが(今でもですが)、こういう人が居るから技術が進んでいくし、守られていくんだな…と、グッと来ました。

日本はかつては技術立国日本と言われるようにお家芸みたいなところがありましたが、今ではどんどん追い抜かれていると思います。
熱い気持ちを思い出せ!みたいなクサい事は言わないし、別に日曜劇場とかは全然好きじゃないけど、ああ、こんな事もあったんだ…と、心の片隅にでも留めてくれたらいいんじゃないかな。そんな作品です。

余談)主に演者さん関係で…(本作はあまり真面目な感想に演者さんの事を入れたくなかったので、余談として入れておきますね)
渋川清彦さんは出てる事を知らなかったので、三浦貴大さんとあわせて「キングダム!」と思いました^^
あと、カトウシンスケさん!こちらは事前に見かけていたので意識して観ていたのですが、気づかぬうちに出て来ていて(!)お写真で解りました(動きのあるシーンはかなり冒頭なので見逃した…!ショック)
女性のメインキャラは唯一、木竜麻生さん。彼女は私は菊とギロチンのイメージなので、これまたなんかわかるなぁ…!と思うキャスティング。
吉田羊さんがいい所を持って行きます。
あと、吹越満さんが圧巻でした!素晴らしかったです。

追記:さらに余談)なんとなく、ですが、PL法が浮かんだ。
製造物責任法。
同じくらいの時期ですかね…?(1995年7月1日施行なので、もっと前か←調べた)
これって海外から来てるやつだったっけ?なんか物凄く変な事例を見た事があった気がします。絶対あり得ないような使い方への注意書きがある、みたいな感じ。(書いておかないと製造側が訴えられるから)
ナイフの話でそれが浮かびました。
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