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Winnyのtackyのレビュー・感想・評価

Winny(2023年製作の映画)
4.5
「私がこのナイフで貴方を刺したら、このナイフの製造者を訴えますか?」

元々、欠陥だらけだった「Winny裁判」。
しかし、一審は何と150万円の有罪刑。最高裁て無罪判決が出るまで、7年もかかった。金子氏は、貴重な7年間を失い、大学の職も失い、社会的にも抹殺された。

色んなレビューで言われているとおり、ノーベルもオッペンハイマーも裁かれないのに、何故、金子氏だけが裁かれたのか?を、純粋無垢な個人の技術者と、警察組織という国家権力の対比で描いた傑作である。

警察の内部告発がWinnyから匿名で漏れる事実を裁判と並行で描いて、元々「匿名性」を守るファイル交換ソフトとしてのWinnyの素晴らしいさと、金子氏には著作権を侵害しようという意図など、無かった事は明白である事を、しっかりと描いている。

金子氏は、無罪を勝ち取ってすぐに亡くなられたが、後進の技術者の未来の為に、無罪を勝ち取るまで戦った姿勢は、もっと評価されるべきである。

また一方で、組織の恐ろしさ、警察の闇の部分もしっかり描き、
素直な人間こそ騙し、起訴にまで持っていく手法や、
皆がしているから、自分も違法な事に手を貸すという集団心理には、背筋が凍る思いであった。

ある意味、子供のまま大人になったような金子氏を、見事に演じた東出昌大と、親父さん譲りの脱力系演技が素晴らしい三浦貴大の弁護士が、ファイルソフトの件でノリノリで語り合うシーンがとても微笑ましかった。
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