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さすらいのcyphのレビュー・感想・評価

さすらい(1975年製作の映画)
4.1
3部作の3作目、というより総集編?いっこ頭抜けて映画だった 3時間と長尺ではあるけど呼吸さえあえばむしろずっとこれが続いたって構わない、という気になる 最初に11週間の長期ロケ・同時録音で撮影されたと断りを入れられるけど、後から調べれば脚本なしでロケ中即興的に台詞や脚本が出来上がっていったそう 撮影の抜かりなさや音楽の素敵さが男ふたりの挙動をチャーミングに演出しつつ、「お前の過去には興味ない 興味があるのは目の前のお前だけ」という台詞に表される通り過去についてや人生についての映画ではない 言うならば時間、そして風景の積み重ねだ でもそれって映画のいちばんおいしい部分でもある

冒頭の素敵な車がハイスピードで湖に飛び込むシーン、影絵のシーン、それぞれに徹夜して再会するシーン、バイク二人乗りで下り坂を疾走していくシーン アメリカの影や地方の映画館の廃れようを目に焼き付けながら置いてきた過去を周遊しながら旅は続く 大した会話も理由もなく相互扶助の関係を一瞬で築くふたりの曖昧な関係がささいな別れや浮き沈みを経つつずっとずっと続くのもよかった
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