たけぞー

王の願い ハングルの始まりのたけぞーのレビュー・感想・評価

4.3
『言葉』が好きな人はツボだと思う作品。 #舟を編む が好きな人も。
時は朝鮮王朝時代、西暦1443年頃の物語。中国の支配と監視の圧力を受けながら(この辺り知識不足なのでアヤフヤ)、国としての自立の手がかりに民に『言葉』を残そうとする王は、まず〝文字〟を作ろうとする。
当時の〝文字〟は中国由来の漢字や、仏教由来の梵字と朝鮮語の『音』とあっていない難しいもので、日本語にあたる平仮名様のものが無かったため、一般の民が『言葉』として書き残せず、王はこれを国の先行きとして、やがて大国に一民族として抗えず飲み込まれていくだろうと考え…って、ここまで来たところで胸撃ち抜かれた。
『ただの文字フェチ物語じゃないんだね!』

言葉・文字はその国の文化であり、人々のアイデンティティを形成するものだからこそ残さねばならない。これは一種の国盗り物語でもあるんだなぁと、感じさせられるシーンが随所にあって。言葉の持つ力は『情感』などのソフト面だけでなく、『権力』『謀略』『暴力』に直結するハード面がある事を淡々と繰り返して見せてくれる。

またこの文字開発の中で、朝鮮王朝の歴史(この辺りが本当に知識が無く悔しい)として、仏教vs儒教の闘争が見られる。仏教を廃し、儒学者が力を持つため僧侶が犬呼ばわりされる時代。…もうこの辺誰か教えてほしい。中国って日本に仏教伝来して、その教えに権力持たせてなかったっけ?なんで隣の朝鮮王朝はこんな事に?でもって、冒頭に日本から僧侶達が来て「経典ください」とか言ってるし。で儒教を推進するはずの朝鮮王朝でもその経典原本は国宝級だし。けど後半見て解るけど、そんな官僚達の中でもどうやら仏教的祭事は残ってるぽい…謎。

そんな不見識から理解が進まない所はあるけども、『言葉』というものが、人の営みや文化を守る力である事を、丁寧に打ち出して見せてくれた。歴史の知識を深めてからまた観なおしたいなーと思う。
たけぞー

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