まつり

だれもが愛しいチャンピオンのまつりのレビュー・感想・評価

3.7
ストーリー自体は珍しくない、暴力沙汰に飲酒運転までやらかす、碌でもないオジサンが、「社会奉仕」として障害バスケチームの監督になり、知的障害当事者との関係を築いていく…というストーリー。だけど、実際に障害をもつ600人から選ばれた役者が障害当事者を演じていると思うと全然違って見えてくる不思議。

日本ではまだまだ遅れている、当事者性を持つ役者がマイノリティを演じる、ということの力を感じざるを得ない作品だった。

セリフもところどころ、感動ポルノっぽいな〜って思ってしまうものもあったけど、
障害当事者にそれを言わせるとまた少し違うよね。障害とスポーツ、そして高齢出産を絡めておきつつポップな空気を崩さないバランスはすごかった。

本当に、どちらかが「世話してやる」なんてことないんだよな、人間通し。
それを説教臭くなく伝える強さのある作品だと思った。

ずっと鳥を見ている人は学者だと言われる、てまさになんだよな。
大学時代発達障害に関する授業でもその問いが出た。興味の対象が何に向くかで他者からの評価が変わってしまう矛盾。
「ふつう」とか「異常」とかって見方でしかないし、どっちの方が「すごい」かなんて本当に誰にも決められない。

試合に勝って嬉しくてバスで歌うことは、咎められることなのか?わからなくなった。
そういう問いを散りばめた作品だと思う。
まつり

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