回想シーンでご飯3杯いける

フェイクの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

フェイク(1997年製作の映画)
3.8
身長167cm、ちょっと鼻にかかった甲高い声、ギョロ目、、、強烈な存在感を持つベテラン俳優、アル・パチーノ(アメリカ版、田村正和?)と、白塗りもメイクもしていないジョニー・デップが共演している、とても貴重な映画。

アル・パチーノという俳優は、あまりに個性が強すぎて、どんな映画でも、結局、"アル・パチーノとして出演してしまう"傾向があり、その辺りは賛否両論なのだが、本作は少し趣きが違い、いつのも完全無欠なハードボイルド路線ではなく、ちょっとくたびれた末端の兵士といった趣き。本人は威勢が良いものの、どこかから回りしていて、そこに人間臭さが出ている。

対するジョニー・デップは、若くて才能もあり、頭もキレる敏腕役。この対比が、本作の進行上、とても重要なコントラストを描き出していく事になる。ストーリーそのものや、各場面で登場人物が選んだ選択肢には若干の疑問が残るのだが、これに関しては、本作が実話を基に作られているという事で、文句を付けるのはナンセンスだろう。2人の味わい深い演技にどっぷりと身をゆだねて鑑賞する事をオススメする。ラストでジョニー・デップに送られる勲章と500ドルの虚しさ、、、お涙頂戴ではないが、心で泣ける映画だと思う。