シャチ状球体

プリズン13のシャチ状球体のレビュー・感想・評価

プリズン13(2019年製作の映画)
1.1
ちょっとびっくりした。この映画を作った人は、本当にこれで良かったの?

映画自体は『es』を極限までハンマーで砕いてから食塩水で溶かしたみたいな内容なんだけど、とにかく全てが酷い。

まず、CMスタジオでスタンフォードの監獄実験を再現しようとしているところ。こういうとこってレンタル料が一時間数万円はかかると思うけど、ソフィアはどれだけお金持ちなの?動画で収入を得ているってことみたいだけど、犯罪行為を流す動画に広告収入が付くわけがない。

それから、看守役と囚人役が最初から仲が悪いこと。『es』では、最初は和気あいあいとしていた被験者たちが、監視の目がなくなって時間が経つうちに段々と与えられた役割を演じるようになっていくという恐怖を描いていた。なのに、この何とかプリズンという映画では、何故か映画が始まった時点で登場人物たちがギスギスしている。これじゃあ実験の意味がない。やばい奴らがただ言い争っているだけにしか見えない。

キャラクター描写も冗談かと思うくらい酷い。とても差別的な同性愛の描写、意味なく下品なシーン(トイレの件をあんなに長く撮る必要ある?)、文字通り暴力を振るいまくる板野友美。
名優・宇野祥平が出てるので何か意味があるのかと思ったけど、考えうる限りで最も面白くない展開が待っていた。
上にも書いたけど、この映画には不愉快極まりない同性愛者の描写が出てくる。周りに当事者がいれば絶対にこんなキャラクターの設定は出来ないと思うので、製作者は本当に面白いと思ってやっているのだろう。
GABAみたいな名前の人の描写は"何とか見れる"。いつの間にかリーダーよりも権力を手に入れてたりとか、ギリギリ映画として成立しているシーンもあった。

最後に言いたいのは、こんな映画を観るくらいなら『es』を観た方が13倍は楽しめるということ。
そもそも、何でこんなの作ろうと思ったんだろう。砂で家を建てるみたいなものなのに。
シャチ状球体

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