とらキチ

ドリームプランのとらキチのレビュー・感想・評価

ドリームプラン(2021年製作の映画)
3.3
“KING RICHARD”
この原題通り、ウィル・スミス演じるウィリアムズ姉妹の父親リチャードの暴君っぷり、毒親っぷりが観られるのかと思っていたのだが、そこまででもなく…かと言って、父親としての娘達への愛の姿を描いたものだったのかと問われると、そうでもなく…と、結局今作が伝えたかったことって、何だったんでしょう?と思わずにはいられなかった作品。ビーナス、セリーナが共に制作に関わっており、実際のリチャードはもっとえげつなかったらしく、本当はそこを描きたかった作品のように思えたのだが、そこまでの踏み込みが全然足らなかった印象。ようは、実話ベースものとして我々が求めるインパクトがほとんど無かった。
リチャードの描き出した“プラン”の内容は具体的には示されることはなかったけど、その大半が、貧困から抜け出し、黒人として社会で認められるためにはどうするか?といった事柄や、更には例え成功しても礼節を重んじるという倫理観の醸成といった哲学的な部分が主だった、というところには、日本人の我々にも腑に落ちるものが結構あった。でもストーリー上、こういった礼節を諭す際、普通は自分達自身の行動から反省させるというパターンを取りと思うのだが、今作においては「相手選手を悪者にする」というパターンを何度も取っていて、そこのところはちょっと気になった。
ラストはお約束のご本人様登場で、それを見る事によって、ウィル・スミスが相当頑張って本人を再現していたのだなぁ、という事がよくわかった。
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