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ドリームプランのkazataのレビュー・感想・評価

ドリームプラン(2021年製作の映画)
3.0
本年度アカデミー賞複数部門ノミネート&ウィル・スミスが主演男優賞最有力ということでいざ劇場ウォッチ!

ウィリアムズ姉妹家族の絆と成功を描いた感動の伝記物語なんだけども……
う〜む、、、そりゃ感動できるいい話だと思うし、ウィリアムズ姉妹の功績やテニス界に与えた影響力には当然リスペクトするけどさ、所々で出てくる信仰論(しかも色々ときな臭い噂も多い"エホバの証人")がノイズになってしまって、本作を心から絶賛することができず。

そもそも「既に大成功する結末を知っている話」を「父親の計画通りだった」という風に描かれてしまうと「信じる者は救われる」ということになってしまって、「結局は布教のための映画なの?」という印象を抱いてしまう。だから、一見すると"いい話風"にまとめられてしまった本作の評価は難しい。
(実話だから信仰の部分を避けて通れないのもわかるけど…)

父親の"プラン通り"にほぼほぼ進んだってことが強調されていたが、個人的には"プラン通りにいかなかったこと"の方にこそ興味があって……たぶん本作の作り手たちも同じような考え方を持っていただろうから、「父親=正義」とストレートに描くことを避け(「そういう考えになったことへの同情の余地はあるよね」程度)、その後の家族関係の"破綻"を匂わせるように"King Richard"という原題をつけて「わかる人はわかってくれるよね?」という含みを持たせているのかな。
(シェイクスピア作品で悪役だし、イヤでも野心家&策略家という「目的達成のためなら手段選ばず」的なダーティなイメージが連想されるわけで…)
(本作自体もリアル父親サイドに訴えられて裁判沙汰になったらしいし…)
(それでも、やっぱり父親のことをかなり増し増しで"いい人補正"してる気がする…)
(本作後の人生の方が人間ドラマ的には面白そうだよね…プラン破綻しまくってそうだし…苦笑)
(ってか邦題がナンセンス!と言うか問題外!!)

まぁそんなわけで、
普遍的な親離れ子離れの物語を描いた『コーダ』と比べちゃうとね、(信念や理念にリスペクトできる部分はありつつも…)頑固親父のプランにいろんな意味で懐疑的な上に「"金のなる木"な娘と離れられない哀れな父親の物語」にさえ思えてしまいました。
(アカデミー賞主演男優賞をウィル・スミスとカンバーバッチが争っているけど…演じている役どころはどっちもイヤな主人公というね 笑)
(助演女優賞ノミネートのアーンジャニュー・エリスは大納得!ある意味で本作の存在意義は"奥さん"のおかげと言っても過言じゃないからね)
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