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ドリームプランのbarneyのレビュー・感想・評価

ドリームプラン(2021年製作の映画)
3.5
テニス観戦オタク、テニス経験者として気になっていた映画。


あの時代の人種差別の悲惨さや、差別問題は比較的薄めに描写していて、今作を悲劇にする気はないように思えた。
また、テニスに関する描写もかなり薄め。初めから姉妹のレベルは強くてニューゲーム状態で、テニスの肉体的、精神的な過酷さはほぼ見せていない。最後だけエンターテイメント的に描いていたが、ことテニスに関して言えばずーーっと無敵状態でそこに勝負の興奮、カタルシスは皆無だ。

原題でもわかるとおり、基本的には父親の話に重視している。日本人はほぼ誰も分からないと思うがこの人は当時からセンセーショナルな言動で世間を賑わせていた。アメリカ人ならそのオッサンの映画という事で興味深いのかもしれないが、普通の日本人が鑑賞しても肩透かしになるかもしれない。だからタイトルも変更されているのかな。そこはウィル・スミスということでタレント力で惹き付けてくれている。

この手の映画には、スポーツの下手くそ演技問題がついてまわる。例えばROOKIESでスィング下手くそでモヤッとしたやつだ。
この映画のテニスは良かった。ウィリアムズ姉妹は素人感があるが、ウィリアムズ姉妹のパワーテニス感が出ている。対戦相手のモブキャラも全員テニス経験者だろう、かなり上手い。その点はモヤることなく安心して鑑賞できた。


結局最初から最後まで毒親でass hole感を払拭しないまま終わるのは造り手の確信的な演出としか思えない。
父親の手腕は確かだったが、なんだかんだウィリアムズ姉妹の飛び抜けた身体能力とタレントで当時のテニス界を席巻した印象は、鑑賞後も変わらず。


スポコン映画、サクセスストーリーの皮を被ったリチャード批判映画かもしれない。
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