昭和っ子

生きるの昭和っ子のレビュー・感想・評価

生きる(1952年製作の映画)
4.8
20代の頃見たときは、名作なんだ、ふ〜んって感じだった。今見ると、ずっしり来るもんが違うわ~!突然の余命宣告に、ただただ狼狽して大きな目に涙をぽろぽろ流す志村喬さんを見て、ずっともらい泣きをしていた。
戦後7年を経過した日本。焼け野原だったなんて嘘のように復興した街の様子や風俗が活写される。大義があったはずの戦争に負けて、誇りも何もかも打ち砕かれたものの、びっくりするくらいの戦後復興を遂げて、飢えることも無くなり、遊興にも興じている人々は、どこか殺ばつとしていて、諦念もうかがえる。「お役所仕事」と揶揄されるのは、どこでも同じなのかもしれないが、息苦しくなるほどに立場を守る様子には、急激な復興の歪みがあるような気もした。
「日本を取り戻す!」って、それはいいから、誇りと、もう少し自分の我を通す自由度と、優しい気持ちを取り戻したい。
おじさんたちのキャラよりおばさんたちの方が、本当のことに迫る力があるとして描かれていたと思う。
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