ピロシキ

生きるのピロシキのレビュー・感想・評価

生きる(1952年製作の映画)
4.3
誰が何と言おうと、名作の部類には入ると思う。このたび約10年ぶりに見返して、それはそれは沁みた。

誰しも死を目前にすれば、残りの人生を悔いなく過ごしたいと思うことだろう。そんな主人公が、空虚な日々から抜け出すキッカケとなったのはウサギのオモチャ。ピョンピョン飛び跳ねる姿を見せて「アタシこれ作り始めて、日本中の赤ちゃんと仲良くなった気がするんですよ」と名言を放つ部下のチャンネーがナイスアシストである。

当時の型にハマったいわゆるお役所仕事とよばれる体制を徹底的に揶揄することで、誰かの為に「生きる」ことによって活力を得ていく主人公の輝きがより一層引き立つ。まるで「人生、死にそうになってからが本番」と言われているようである。僕みたいなヒヨッコがすいません、と謝りたくなっちゃうレベルの力強いメッセージ。ヒューマンドラマで魅せる、黒澤明の職人技だろう。
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