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生きるのガクのネタバレレビュー・内容・結末

生きる(1952年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

この映画が発表されたのは1951年。
ここが少し腑に落ちない。何故ならこの時代の人々の殆どは市役所の様な働きをしていない、寧ろ生きることに真剣な人達ばかりだった筈だからだ。むしろ、戦後を知らずに生まれてきた人々が大人になった時代、1960年代以降の作品だったら腑に落ちていた。だったら、この映画はむしろテーマはそこまで重要ではない、という気がしてきた。つまり、もしもテーマが大事であれば、志村喬が公園をつくりあげるところを映し出し、そして往生してみんながその功績を惜しむというのが普通だからだ。

だから、自分はこの素晴らしいテーマを映画的に表現する事に挑戦をした作品だと思った。小田切みきと志村喬が対面でケーキを食べるシーンの志村の笑顔が、まさしく生きるっていう映像になっていると思った。他には、息子夫婦が電気をつけた時に俯いて佇む志村の死んだ様なシーン、ラストの、ブランコで燃え尽きたシーン、など。こういう映画は何度でも見返して自分の審美眼を鍛えたい。
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