Hoshiduru

ソウルフル・ワールドのHoshiduruのネタバレレビュー・内容・結末

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

観た直後とだいぶ言いたいことが変わってきた。

「音楽のために生きてる!」って、それも素晴らしいんだけど、人生は色々あるから音楽を奏でられなくなることだってある。その時に生きてる意味が無くなるわけじゃないし、新たに探さなきゃいけない訳でもない、って、そういう事ですよね?

自分語りしちゃうけど、私、小さい頃「大学の卒業式の日に死のう」って決めてた。大学がきっと私にとって最高の居場所で、社会では生きていけないって知ってたから。実際、勉強に没頭しすぎて幸せで苦しくて不意に死にたくなることもある。

周囲からの期待が「私ってこういう人だよね!」って舞い上がらせて、そして周りに「裏切られた」って嘆かれる度、死にたくなった。存在する理由が消えるから。人に「救われた」って偶に言われるし「期待してるよ」ってめちゃくちゃ言われるけど、同じだけ、失望した顔にも攻撃してくる言葉も触れてきた。

その度に死にたいなってなるんだけどさ、意外と生きてる。たぶん何のためでも誰のためでもなく、たまたまで。「あ、意外と預金残高がある」ってだけで去年で終わるはずだった人生は続いてる。たぶんそういうのの連続で、大学卒業しても人生は続く気がする。
人生ってそんなもんだよね。なんか、「あっ」ってなるあれって、本当に文字通りの延命措置なんだよね。その場限りなんだろうけど、たぶん「今」を生き延びればそれで良い。

そうそう、だから夢とか希望とか生きる目的があるのは素晴らしい事だけど、それは絶望と表裏一体だし、その夢とかのせいでしんどくなっても、「死にたくて、もう今目開けてるので精一杯」って言うのでも全然良いんだよって言われたと思う。
22番にかけられた呪いの言葉たち、意外と私も浴びてきたんだなって不意に気づいた。死にたいと同時に、「でも生きたい」と思うこの苦しみにそっと寄り添って、生きてて良いよって言われて、良かったなって思う。
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