マヒロ

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェストのマヒロのレビュー・感想・評価

5.0
西部劇というジャンルの面白さに初めて気づいた作品かつ、最も敬愛する映画監督であるセルジオ・レオーネ作品の凄まじさを知ることが出来た記念すべき映画で、いつか映画館の大スクリーンで観ることが出来たら……と思っていたら、まさかこんなに早く叶うとは。
冒頭の駅で風車の軋む音、不安と希望が混じった表情で馬車で街を往くクラウディア・カルディナーレ、砂煙の奥から現れるヘンリー・フォンダとその一味、画面いっぱい埋め尽くすチャールズ・ブロンソンの岩肌のようなゴツゴツした顔面のドアップ……何度も見返した大好きなシーンを観ることが出来て感無量で、何でもないシーンなのに何回も涙が出そうになった。

改めて観てみて感じたのは、ジェイソン・ロバーズ演じるシャイアンというキャラクターの魅力。初見時はカルディナーレ、ブロンソン、フォンダの三本柱がとにかく印象深くて彼は脇役程度に捉えていたけど、自分になすりつけられた罪を何とかするためという目的はあれど、悪を挫くため自分の身を差し出したり危険を顧みずに走る列車の上で戦闘を繰り広げたりと、山賊という設定の割にとにかく気の良いやつ。『続・夕陽のガンマン』でいうところのトゥーコ(イーライ・ウォラック)的な、美味しいところは他の人に譲るが一番感情がシンプルに読み取れて親しみやすいキャラクターだった。

カウボーイやガンマンが暴力で支配していた時代が列車の到来と共に終わりを迎え、時代に残された男たちが静かに表舞台から去っていくという西部劇というジャンルの最終回的なストーリーを、過剰なまでの演出・撮影・音楽で情緒たっぷりに描いた今作は、やっぱり劇場の暗闇の中で大スクリーンと大音響で観るのにふさわしい作品だったなと思った。

……劇場でスルメ食ってる人がいたのかずっとイカ臭さが漂っていたのと、あまり昔の映画を見たことないからなのか笑いどころでもない演出でずっと馬鹿にする感じでクスクス笑ってる若い人がいたのがちょっと残念だったが。マクベイン家の葬儀シーンでも笑っててとんだサイコだなと思ってしまった…笑
まぁ、そういう周りの人の反応を感じられるというのも劇場鑑賞の醍醐味だししょうがないけど、今作はノイズ無しで観たかったなぁ。

(2019.203)[24]
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