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ガリーボーイのeriのレビュー・感想・評価

ガリーボーイ(2018年製作の映画)
3.3
良かったところ:
スラムに生きる人々を丁寧に描写していると感じました。
例えば、住居が勝手に観光地化されていたり、大学に通う富裕層との接点があったり。インド社会においてスラムは完全に隔絶された世界なのではなく、どの層とも地続きの存在なのだと気付かされます。
あとは、アーリヤー・バットによるサフィナの屈折した演技が素晴らしかった。貞淑かつ従順であることを両親に強く求められた彼女は、ムラドや、ムラドの仕事相手である女性に感情が昂るままに暴力を振るいます。ムラドのラップとは異なる方向に、理不尽な社会に押し込められた自分自身を爆発させているのです。
アーリヤーはこういう強いオンナの役がハマりますね。RRRの悲しそうにすすり泣くスィータもよかったですが、彼氏を寝取った女を瓶で殴り倒すくらいの勢いがあるオンナが似合いすぎ。
ムラド役のランヴィール・シンは熱演でしたね。ラップ本当にお疲れ様でした。

もう少し!なところ:
淡々と進むのでヤマ場に乏しく、途中で何度か飽きてしまいました。
ドキュメンタリー的な描写をしているからかもしれませんが、ドラマチックな演出はありません。それが好きな人もいるでしょうが、私は少し冗長に感じてしまいました。
ゾーヤー・アクタル監督作品は、私にとっては響くものとそうではないものがありますが、本作は残念ながら後者でした。
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