まりん

ガリーボーイのまりんのネタバレレビュー・内容・結末

ガリーボーイ(2018年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

インドのカースト制はかなり根深い。そして、とんでもない女性軽視思想。
男性優位の結婚は認められても、女性優位の結婚は勘当モノらしいので、ムラドとサフィナが必死に隠すのも分かる。
それにしても、サフィナは、中々デンジャラスな性格ね。優秀でお嬢様。だけど、ムラドが大好きなのが可愛いなぁ。

ムラドは、音楽的センスが高かったわけじゃない。ただ、ラップに惹かれてはいた。だけど、言葉を紡ぐセンスに秀でていたのよね。
作家にもなれたかもしれない。だけど作家は、誰かが本を手にとって読んでくれなきゃ何も出来ない。
その点、音楽は、即効性がある。今の生活から抜け出す為に、ラップに出会ったのは大きいよね。才能を発揮できる。
だけど何より、MC・Sherとの出会い。一番最初に聞いたのが、彼のラップで良かった。
ライブ会場で、女性シンガーの美しい歌を退屈だと罵倒した観客。女性軽視の表れなんだけど、それを、声を荒げる訳でも、非難、否定するでも無く、さっそうと現れ、ラップで彼の小ささを鼻で笑った。
居た堪れなくてその場を去る位に。滅茶苦茶格好良い!そして、後進への気配り。思いやり。背中を押し、引っ張り上げる強さ。
彼のラップは優しい。彼も決して恵まれた環境に生きて来た訳じゃないのに、語り口も優しい。何かが足りないと言われようが、優勝出来なかろうが、ひりひりした強さが無かろうが、彼は格好良い。
だからこそ、Gully Boyは生まれた。

身の丈に合わない夢を見ず、下を向いて生きろと言う父。上を向いて生きろと言うMC・Sher。
日本人初め、世界中の自由の国の民からしたら、ろくでもない父親。重婚だし、女性軽視だし。
妻から部屋や物を奪い取って連れて来られた第二婦人だって、自分の意志じゃ無く、逆らえなかったんだ。
だけど、あの国ではそれも認められるのだ。

ムラドは Gully Boyとして、仲間たちに夢を与えている。誰だって、夢は見て良いのだと。人気な筈だ。
まりん

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