このレビューはネタバレを含みます
最初と最後に
「いじめは身近にある問題です。この映画がその抑止の一助となりますように」というメッセージが流れたのが私は良かったと思う。
フィクションの物語の一部じゃなくて現実なんだってちゃんと言ってて。
後半のチェンの警察署での取り調べの場面「あなたを守りたいってみんな私に言うけど、誰が守ってくれたって言う訳?」って台詞が刺さって泣いてしまった。
この映画に出てきた高校と警察は(日本で起きた過去のいじめ事件の対応に比べたら)よく対応した方だと思うけど、でも暴力から本当に守ってくれたのはシャオペイだけだったんだよね。
耐えぬけるか力尽きるか、ギリギリで生きているいじめられっ子からしたら、ずっと側にいてくれなきゃ守ってくれてることにならない!
チェンがゴミ箱の中から電話した時に、刑事がもっと気づいてくれてたら……。
一方、いじめの主犯格だったウェイも教育虐待を受けている様子だったのも気になった。チェンも(母は娘の学費のため出稼ぎしてるとはいえ)いわばネグレクトされてる状態だし、いじめ問題の根っこには虐待も大いに関係してる。
私はこの映画は、ラジオで町山智浩さんが紹介していたのを聞いて見たくなったけど、町山さんが
「どの世界でもいじめを受けるのは貧しくて家庭で虐待を受けている子」と言っていたのが衝撃だったけど納得する。
(一緒に見た友人が、中国では、ストリートチルドレンや、親が出稼ぎで子をひとり残してる地方も結構あるんだよと聞いてそれもショック)
シャオペイの「痛い?なんて初めてきかれた。」と泣いた場面もつらかったぁ。
教師になったチェンがいじめを受けていると思われる生徒に寄り添っていた場面が、なによりのこの映画の希望。
チェンとシャオペイ、ラブシーンらしいラブシーンを描かず、カップルなのかどうか曖昧にしてくれたのもよかった。
日曜日の朝10時に観るにはちょっと重かったけど、見てよかったし、新宿武蔵野館は満席でした。
なんでこんなに上映館少ないんだろう。エンタメ作品ではないし、つらい場面も多いけど多くの人に観てほしい!