Saako

市子のSaakoのネタバレレビュー・内容・結末

市子(2023年製作の映画)
2.9

このレビューはネタバレを含みます

杉咲花の良さがわからず好きじゃなかったので(ファンの方ごめんなさい)これはスルーするつもりだったけど町山智浩「アメリカ流れ者」を聞いて興味を引かれ劇場へ。

あらすじからしてヒロインは無戸籍と想像してたので意外性はなかったけどミステリーとしてはハラハラさせられた。

今まで私が目にした彼女の主演作品は明るい!元気!という役が多く、感情が昂るとキャンキャンと高い声になるし、笑顔がいつも同じだなという印象だったので、
暗い役だとこんなに輝くのかという意外さはあった。妹の呼吸器を外した時の表情は絶品でしたね。彼女にはこれから暗い役のオファーが沢山来そう。

市子の人物像に疑問。
脚本が甘いのか、演じる杉咲花も"役の弁護人"になるような理解が出来てないのか。
あの生い立ちでここまで生に執着するか?死にたいってずっと思うんじゃないか?腑に落ちない。
私は北に同情してしまった。あそこまで尽くしてあげたのに……。

市子の生い立ちを母親から聞いて長谷川が涙する場面はBGMない方がよかったな。冷めてしまった。

市子をサイコパスと思うか同情するかは観客に委ねたかった感はわかるけど、製作側も心が決まっておらず観客は置いてけぼりにされた感じ。
でも、市子がもっと健気でいてほしいとか思っちゃうこの感情は、戸籍を持って生きてこられた人間の驕りなのかと考えさせられもする。
しかし市子の行動に観客を納得させるには市子の怒りを伝える描写が全く足りない。

「正欲」は人物が全員、筋が通っていた。
Saako

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