滝井椎野

スーパー30 アーナンド先生の教室の滝井椎野のレビュー・感想・評価

4.3
素晴らしいエンタメ作品。パワーに溢れており、元気をもらえた。
奇跡の実話ということで、『ドラゴン桜』『ビリギャル』のようなものを想像していたのだが、流石はインド、殺し屋に襲撃されたりなんだりと一筋縄ではいかない中々に物騒な話だった。

アーナンド先生の逆境に負けぬ姿と、生徒たちがそれに応えて成長していく姿に胸を打たれる。個人的に、進学校の生徒たちに野次を飛ばされながらも奮起して貧富の差からくるコンプレックスを塾生たちが乗り越える場面が良かった。歌と踊りの華やかさが素晴らしく、最後は立場関係なく肩を抱きながら盛り上がる様は、現実がこうであって欲しいと思わせてくれた。この手の演出の分りやすさが、インド映画の魅力だと改めて思った。

病院で生徒たちが知識を武器に殺し屋たちと対峙するシーンは、なかなか熱いものがあり、知は力であるという本作のテーマを強く感じられて良かった。この知は力であるというテーマは、少し間違えるとただただ説教臭くなってしまい取り扱いが非常に難しいのだが、その辺はインド映画のストレートな作りと相性がよく、気にせずに最後まで観ることができた。

劇中、アーナンド先生の教えを求めて各地から生徒が集まってくるシーンだが、月面ロケットを見立ててバスに引っ張ってもらったり、流れの激しい川を下ってきたり……とバラエティに富み、それぞれがまた壮絶で面白かった。
滝井椎野

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