Ryo

男女残酷物語/サソリ決戦のRyoのネタバレレビュー・内容・結末

男女残酷物語/サソリ決戦(1969年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

字幕鑑賞ではないので、深くは理解できてないけど良かった。ざっくりいうと、慈善団体幹部のセイヤーがジャーナリストのメアリーを監禁する話。

セイヤーが住んでいる部屋のミッドセンチュリー的なアートがとにかく素晴らしいなと思いましたね。キューブリックの2001年の影響も多少はあるのかなと。赤いライトの感じとか。

逆にキューブリックはこれを参考に(既に制作は始まっていたが)時計じかけに活かした要素ありそう。

あと、うろ覚えですがセイヤーがメアリーの手首を掴んで、その次のカットではそのクロスした形の人形が出てくるシーンは印象的でしたね。

セイヤーの部屋は独自で作ったのかなと思いますが、セイヤーの仕事場所はファルネーゼ宮かな。チャールズ5世の絵画もあったので、恐らく。

51年発売のCONTAXのⅢaのカメラとかAstorのAmerican Blendとかセイヤーの美的感覚は自分に刺さる。

テーマは『男性性』『女性性』というのを性に絡めて描きたかったのかなと。男性性は、挑戦とか支配とか決断力の速さとかそういったもので、女性性は包容力や直感、感性といったもの。

本来男らしさや女性らしさというのは持っていて損はないものなんですが、セイヤーの男性性というのは、それを意識したあまりに、恐れとか不安から相手を支配したいという男らしさとは無縁の状態にある。

そういった感情を手放せずにいるから、相手に固執してしまう。いわゆるトキシック・マスキュリニティ(有害な男性性)ってやつですね。

彼の言葉からもそれは感じ取れますね。「女性は魅力的な男性の精子のチューブを選ぶことができる」とか、「メスのウサギは単為生殖を学んだ、お前らも学ぶんだろ、女だけを出産する女だけの世界を」的な。

女性性の美を感じ取れる「グリッドの直線に対し、長く曲がった線を形成して女性らしい」みたいな言葉も中には。性と星座を絡めた言葉とかもあったり、これはちょっと勉強になった。

と思えば、囚われていたメアリーが「最高の客を逃したわ」みたいなこと言って、事前に知っていて、本業はジャーナリストじゃねーのかよみたいな若干解釈を委ねるような展開も最後にあり、中々良かったです。

終盤は夢の中のメロドラマ的な展開もありつつ、なんだこれとは思ったけど笑 

このタイトル『Femina ridens/The Laughing Woman』は「女性はいつも最後に勝者になり、最後に笑うのは女性だから」っていう意味らしいです、監督のインタビューから。特に囚われものはそうかもしれん。

この時代の映画をまた勉強し、見直したいなと思います。てか、日本でやるのね。
Ryo

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