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ザ・プロムのtsuyocinemaのレビュー・感想・評価

ザ・プロム(2020年製作の映画)
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【ザ・プロム】
ナルシスティックで落ち目のセレブ役者たちが自分たちの評判を上げるため、インディアナの田舎へ。レズビアンが原因でPTAからプロムに参加することを禁止されている女子高生を救い、田舎者に多様性を説きに行くという傲慢かつセルフィッシュなセレブ活動しにいく…

まず前情報をいれずにタイトルと映画の印象から完全ナーメテーター(舐めてた)案件。
観客は楽しみながら説教くささを感じず、社会が抱える問題(分断や政府の管理体制のあり方とか)、パーソナル(ジェンダーや宗教)な問題を考えさせてカタルシスも与えるという、アメリカンポップカルチャーの王道であり良心というような作品でした!

後々調べたら良質なミュージカルドラマgreeの制作チームということで、ウェルメイドな出来も頷ける。

落ち目の俳優たちは都会から傲慢にもインディアナの人々を啓蒙に行くというマウントスタンスなのだが、インディアナのレズビアンの生徒や保護者、先生と交流することで自身も成長、癒されていくストーリーラインも素晴らしい!

そのストーリーラインを成立させるナルシスティックであることで嫌われてたセレブが、子供たちに自己肯定感を持てと!鼓舞し、そしてそれが現代の自己肯定感の重要性にも紐づいてるのが、まぁ見事すぎるっす!

冒頭のミュージカルで「俳優は観客の人生を変える」という冒頭のセリフの伏線回収もニクイなぁ。

ミュージカルシーンはどれも恍惚感と高揚感が掻き立てられるものばかり、個人的には都合のいいキリスト教の引用による偏見を持たないように、「聖書より常識を活用しよう!隣人を愛せ!それが1番大事」とトレントがいうシーンが最高!(ある意味メガチャーチ的な布教の批評も含め)

もう文句のつけようがないし、年末年始に景気良く観るべき作品だし、爆音で、本当は映画館で観たいやつ!!


【ネタバレ含むグッときたポイント】
・ホテルでスイートを要求するときにトニー賞かなんかのトラフィーで威圧、要求するディーディーがヤバい

・ニコール・キッドマンのあのコーラスガールという設定

・校長へ嘆願するメリル・ストリープのかっこよさ

・エマがテレビでなくYouTubeを選択するもメディアシフトしてる感じ

・ママの頃とは違うの!少し早くなったの!と
自分が自分であることを誇れるようになってきた世代の意思表明な感じがもうたまらん!

・音楽が鳴り響けば、誰を愛しているかなんて関係ない…感涙ものですな


・フロアにいるみんなのもの!とエマが言ってからの現行ダンスミュージックにビートチェンジ
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