Omizu

オフィーリア 奪われた王国のOmizuのレビュー・感想・評価

3.2
『スターウォーズ』新三部作のレイを演じたデイジー・リドリー主演作品。監督は『The Turning』クレア・マッカーシー。シェイクスピアの悲劇『ハムレット』をハムレットの恋人であるオフィーリアの視点から描く。サンダンス映画祭でプレミアされたが日本では劇場公開されなかった。

んー、発想自体は悪くないがオフィーリアを主人公としたことで色々と無理が生じている。撮影や衣装は素晴らしい。キャストでは王妃を演じたナオミ・ワッツがハマっていた。デイジー・リドリーやハムレット役のジョージ・マッケイはあんまりハマっていないような…

テンポが早くて矢継ぎ早に進んでいくので退屈はしない。オフィーリアからみた『ハムレット』はこうなのかという新鮮さはある。

しかし原作ではオフィーリアは受け身の人物でしかないので彼女を主役にすることで色々と無理が生じているのも事実。原作にはない魔女(『マクベス』の引用か?)や仮死状態になる薬(『ロミオとジュリエット』)などシェイクスピアの他の作品からの引用というのは分かるがやはりちょっとご都合主義でリアリティがない。

終盤の展開もあまりに無理があるのでは。王妃に対してもう少し説明をするべきだった。エピローグの子どもも唐突だし。

デイジー・リドリーはオフィーリアを演じるにはあまりに強そう。ジョージ・マッケイは対照的にあまりに弱そう。そんな二人のケミストリーをあまり感じなかった。

役者では一番美味しいし最も輝いていたと思うのは王妃役のナオミ・ワッツ。しかし彼女に対しても説明不足な展開が目立ち勿体ない。

とにかく撮影やロケーションはキレイだし美術や衣装はいい。それだけに物語のご都合主義が気になる。受け身の人物を主役にする場合はもう少しアプローチを考えた方が良い。悪いとは思わない。むしろ挑戦的な良い映画だとは思うがあと一歩という印象。
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