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オペラ座の怪人のdeenityのレビュー・感想・評価

オペラ座の怪人(2004年製作の映画)
3.5
久しぶりのミュージカル映画。誰もが聞いたことあるくらい有名な作品だから、どんな内容なのかを知れただけでも価値があった。有名な曲とファントムマスクのイメージしかなかったけど、そもそも三角関係の恋模様を描いてたわけね。しかもファントムがジェラルド・バトラーとは。まあ歌い手の人ではないから、とか思ってたけど結構歌がお上手で驚いた。意外と酷評受けてたりするみたいだけど自分にはそこまで歌の上手い下手を聴き分けられるほどの感性はないから普通に満足。

やはり個人的ポイントとしてはミュージカルを舞台ではなく映画にしたわけだから、それなりに映画だからこその表現なり魅力なりを出していかなければ差別化は難しいと感じていて、歌では生には絶対に劣るわけだからその他のポイントが重要になる。
そうなってくると際立つのが冒頭の廃れたオペラ座が息を吹き返すシーンは映画ならではの表現で、絢爛と甦るそのシーンには「かの有名な『オペラ座の怪人』はこうやっては始まるのか」と期待が高鳴る。
その後も舞台を縦に使う演出なんかは舞台では表現できない演出でしょう。そうやって映画にしか不可能な魅力を引き出していくのは大切。

しかし、その後は徐々に失速気味かな。やはり生歌を聴けないのは大きい。せめて映画館で、とも思ってしまう。
おそらく根本的なキャラクターに惹かれていかないのが問題かもしれない。女の人にとってはとても耽美的で魅力に溢れているように映るそうで、「ファントム大好き」と言ってる人にも最近会いました。しかし、男の自分にはこれがさっぱり…(笑)むしろ、素直に弱みをストレートに表現できるのが羨ましいな、と思ったくらいです。
と言うか欠点としては闇が弱い点か。生まれ持った顔で差別を受けて虐待されていた、と文字に起こしたら胸が痛くなりますが、映像としてはその印象が弱まってしまった。たぶん自分の中でのファントムはむしろゴースト的なイメージで、ホラーチックでミステリアスな雰囲気だという先入観があったからこそのギャップが勝手にネックになったのかもしれない。三角関係の恋愛がテーマなんだもんな。「ファントムってめちゃめちゃ人間味溢れてるじゃん。」なんて思っちゃったイメージとのズレを受け止めきれなかったと感じた。

しかし、ミュージカルで恋愛を歌で表現するってのは結構いいもんですね。そんな感覚忘れちゃいましたが、恋をしている時のあの情熱的な、優しさでいっぱいな、歌い出したくなるような感情ってのは歌と重ねると意外としっくり来るもんです。

P.S.この曲聴くと友達のボーカル君を思い出します(笑)
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