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不思議惑星キン・ザ・ザのdeenityのレビュー・感想・評価

不思議惑星キン・ザ・ザ(1986年製作の映画)
3.4
旧ソ連のSFコメディ作品。カルト映画の類いでずっと気になってた本作がアマプラにあったので鑑賞。

とにかく独特な世界観がすごい映画でした。
異星人だと名乗る男と関わり、突然辺り一面砂漠しかない別の惑星に飛ばされてしまい、地球に戻るために現地人を探していると、空から謎の物体がやってきて…みたいなストーリー。

まあ何ともよくできてるのかできてないのか評価しづらいチープさはありますが、いい意味で緩さがありますし、とりあえず世界観は面白いですよ。

まず言語どうすんだ問題があると思いますが、この星には公言可能な相手を罵倒する意味の「キュー」とそれ以外の全てを表す「クー」の2語しかありません。まあ当然それだけで映画が成り立つはずもなく、思考が読めるということからロシア語を話し始めるわけですが、これが絶妙に頭に残ります。あとはそれとセットであの挨拶ポーズ。ロシアでは定番のボケみたいな感じで通じるとか。
あとはそれ以外も専門用語みたいなのは出てくるのですが、それに関する単語帳みたいな感じで解説が入るのとかも面白いですし、マッチの火薬がもの凄く価値があるって設定もなんかしっくりきて、その世界観がさすがの魅力だと感じました。

調べると、意外と当時のソ連の共産主義に関する社会風刺的なメッセージは込められてる作品ではあるようですね。たしかに階級社会とか何かしらメッセージ性っぽいものはあるような気はしましたが、正直あんまりわからんかったですね。不勉強なのでロシアの社会問題とかも詳しくはないですし、ましてやソ連時代なんて余計にそうですし。
シンプルにカルトな世界観を楽しめればいいんじゃないかなと思います。その中で、人間らしく妙に相手を思う心が感じられるようなラストの余韻を味わえれば十分な作品だと思います。
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