dameyaji

ブラック・レインのdameyajiのレビュー・感想・評価

ブラック・レイン(1989年製作の映画)
4.5
監督:リドリー・スコット
主演:
マイケル・ダグラス
アンディ・ガルシア
高倉健

そして…松田優作

もうこの贅沢過ぎる豪華キャストの顔ぶれだけでも最高に鳥肌が立つ作品。

中でも、自分がガンである事を監督はじめスタッフ・関係者にも隠し続けながら撮影に臨んだ松田優作。
この作品の中で日本のヤクザ:佐藤を演じた彼の鬼気迫る異様な悪役ぶりは強烈な印象を与え、とてもガンを患っている人とは思えない程の熱演でした。

そして撮影が終わり、この作品の公開と同じ年の1989年11月6日に他界し、この作品がまさに松田優作の遺作となりました。


そしてもうお一方。
この作品の中でマイケル・ダグラスとアンディ・ガルシアの監視役:松本警部補を演じた高倉健。
日本人目線でこの作品を観ると、やっぱり高倉健が出る事でグッと作品に渋みが増して引き締まる感じがします。

劇中、サングラスを掛けてアンディ・ガルシアとデュエットでレイチャールズを歌う高倉健の姿なんてもうあり得ない位貴重な映像だと思う。

そんな高倉健も一昨年の2014年11月10日に他界され、この作品はまさに日本を代表する名俳優お二人の追悼作品となってしまいました。


もちろんこの作品の魅力はこのお二方だけでなく、NY市警の刑事ニックを演じた主役のマイケル・ダグラスも、その同僚チャーリーを演じたハンサムガイのアンディ・ガルシアも、男目線から見てもこの二人はやっぱり最高にカッコイイ!

前半この二人の友情・絆的な描写をたっぷり見せ付けておいてからの中盤のあのショッキングなシーン。。。
初めてこの作品を観た時はこのシーンがしばらくトラウマとなり頭の中から離れませんでした。

この出来事があってからニックと松本の間に少しずつ芽生えてくる新たな絆と信頼関係。(二人が張り込みしながらうどんを食べるあのシーンが好き)

そしてラスト、激闘の末に佐藤こと松田優作が最後に見せたあの微笑みはまさに、

『自分自身の死を悟った』

ような表情に見えて何かグッとくるものがあった。


実際に大阪で撮影されたまるで「ブレードランナー」に出てくるようなネオンと蛍光灯が光り輝くあの独特な日本の描写。
静まり返った夜の繁華街に鳴り響く不吉なバイクの爆音。
そしてあの地下駐車場。
この作品は役者さん達だけでなく、こうした場面背景もとても好きな所です。

ちなみに、ブルーレイの特典映像でメーキング映像を見る事が出来ますが、80年代に実際の大阪での撮影がどれだけ大変だったかを知ると更にこの作品に対する思い入れが深まります。


まだ若い頃初めてこの作品を観た時はもちろんまだ高倉健はバリバリの現役でご活躍されていましたが、今改めてこの作品を観返すと松田優作も高倉健もお二人共他界されてしまったという現実に何か時代の流れと共に寂しさを感じてしまいます。

お二人共最高の俳優さんでした。
そして、今でも大好きな俳優さんです。
そんなお二人の姿を観る事が出来るこの作品、いや、この名作。
もし未見の方がいらっしゃいましたら是非一度ご覧になってみて下さい。
dameyaji

dameyaji