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うなぎ 完全版のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

うなぎ 完全版(1997年製作の映画)
3.5
愛する妻を殺してしまい、飼っているうなぎだけを話し相手にしている男が、自殺をはかった女性などとの交流により再生していく様子を描いた人間ドラマ。
監督は今村昌平
原作は吉村昭の「闇にひらめく」で、今村監督、天願大介(監督の息子)、冨川元文が共同脚色。(1997)

平凡なサラリーマンだった山下拓郎(役所浩司)は、妻・恵美子( 寺田千穂)の不倫の現場を目の当たりにし、怒りに駆られて妻を刺殺。警察に自首し、8年の懲役に服した後、仮出所で、佐倉市の寺の住職(常田富士男)の世話を得て利根川の川辺に小さな理髪店をひっそり開業する。
人間不信に陥り、トラブルを起こさないように人との接触を避け、一匹のうなぎを話し相手にして生活していたが、偶然、自殺未遂をした女性・桂子(清水美砂)を助けたことから、住職の妻(倍賞美津子)に押し切られ、彼女を自分の店で雇うことになってしまう。
更に、嘗て一緒に刑務所に入っていた高崎(柄本明)や、彼女が縁を切りたい愛人・ヤクザの堂島( 田口トモロヲ)が現れる。

その後の展開は見てのお楽しみ。
お弁当が愛情表現です。

「本当は、人間の友だちを作るのが恐いんじゃないの…
人間が嫌いだからうなぎと話をするんでしよ」
「好きなのに何で殺すのかって…。だけど、どうしても許せなかったんです。俺はあの時、恵美子と一緒に死んだんだ」
「お前セックスがヘタなんだ。生まじめな幼稚園のガキが。嫉妬して何が悪い」
「幼稚園のガキ大将か、潔癖が女を殺したか。変態のくせに」
「○○なんか初めからなかった。お前の嫉妬が生んだ妄想なんだ」

主演の二人以外で、最も重要な役は、主人公の役所広司同様妻を殺し、嫉妬から執拗に付きまとい嫌がらせを繰り返す柄本明。役所広司と対立する関係だが、実は二人はコインの表裏、人間は両面を持つともいえる。
他に、うなぎ釣りに山下を誘う、妻を亡くした近所の船大工・ 佐藤允、
チンピラ風でギャンブル好きのスポーツカー男・ 哀川翔、
人に心を開けずUFOを見ることに夢を託す 小林健、
桂子の母で心に病を持つ 市原悦子らが脇を固める。
なお、17分短い「劇場初公開版」は見ていない。
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