けんけん3号

うなぎ 完全版のけんけん3号のネタバレレビュー・内容・結末

うなぎ 完全版(1997年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

山下の再生の物語。妻を殺し、刑務所を出所してからの山下は余生をただ生きているだけ、どうなろうと構わない、抜け殻で、生活する為に働いているだけ。誰とも関わらずひっそりと暮らしていきたかっただけ。だからあえて、客の来なそうなボロ店舗。だが、周りのひとのいい、お節介さんたちに放って置いてはもらえない。さらに桂子を助けたことで山下の暮らしが騒がしくなってしまう。桂子に惹かれてはいるが、妻の裏切り、妻殺しゆえの自己否定の為、関係を進展出来ないでいる。お弁当を受け取らない態度に、意志の硬さが表れている。うなぎは山下が心を開放できる唯一の相手である。刑務所仲間の高崎に指摘された事、特にセックスに関する内容はセンシティブであり、男としては認めたくないことだったろう。水槽に沈んだ手紙がそれを表し、山下は内に秘めた葛藤をうなぎにぶつけていたんだと思う。そして色々騒動を経て、最後は周りのいい人達に、桂子に心をほぐされていく。人は一人では生きていけないんだなぁ。現在の日本人が忘れかけてる大切なものを思い出す作品。役所広司、清水美沙の演技は流石でした。脇を固める役者も素晴らしく、個人的には佐藤允が良かった!UFOの青年のくだりはいらなかった気もするが、良い作品だ。