このレビューはネタバレを含みます
ナヴィッド・モハマドザデーがすごい
ジャスト6.5と同時公開されたイラン映画。
主人公はジャスト6.5の麻薬ディーラー役で絶大な印象を残したナヴィッド・モハマドザデーがジャスト6.5で見せた一見成功者風な犯罪者役からはかけ離れた、お堅いながらもチャーミングさも併せ持つ、なんなら若干の小市民感すらある刑務所の所長を演じる。
物語りが始動する小躍りするほどの天国に、食い気味で地獄が顔を出すシーンはほとんどコメディのようにも感じられる。
作品全体を通しても消えた死刑囚の生き死ににかかわる話ではあるが、ミステリーとして面白く観ることができる。
もちろん作品のそこかしこにシビアな状況が描かれているが、主人公の悪人と断定できないキャラクターと、良い男なんだけどちょっとふっくらしてるナヴィッド・モハマドザデーさんの見た目がエンタメとして観れる理由なんだと思う。
ジャスト6.5は最新の現在のイランを描いているらしいが、こちらは1966年イラン革命前を描いてるそうな…いやイランの歴史についてほとんど知らないから情報書いてみただけなんだけど。
情報といえば今作は「ジャスト6.5」とニコイチのパンフレットになっており、二作とも作中の字幕が全て掲載されるという珍しい内容だった。
1ページ目の東京国際映画祭矢田部さんの格調高い文章も素晴らしいが、ウォーデンの日本語字幕を担当された林かんなさんの文章が字幕制作の知識として興味深く、他と比べて砕けた文体からして多分この人面白い人なんだろうな思う…素敵。