Kamiyo

雁の寺のKamiyoのレビュー・感想・評価

雁の寺(1962年製作の映画)
3.5
1962年川島雄三監督。
水上勉の直木賞受賞小説が原作。自伝的作品で、幼少時に目撃した禅寺の堕落した暮らしぶりを元にしている。
映画化にあたり仏教界からの反発が強く公開が難航したとある。

「雁の寺」
1961年作、京都は洛北、衣笠山の麓、孤峯庵。
京都画壇の重鎮、岸本南嶽の雁を描いた襖絵が名高く「雁の寺」と呼ばれていた。
舞台は、京都のとある禅寺。この寺に、和尚慈海(三島雅夫)の知り合いの画家南嶽(中村鴈次郎)に死なれた妾の里子(若尾文子)がやってきた。
里子の虜になった慈海は愛欲に溺れ、その様子を見ていた少年僧慈念(高見国一)は…
あるとき里は慈念が父もわからない頭の弱い女が産み落とした捨て子だったこと、
養親から口減らしのため寺に修行と称して捨てられたことを知る。
自分と通ずる慈念の境遇に身体を与える里、
寺の中でのおぞましい三角関係が始まる。
次第に情念に呑み込まれていく慈念。

なんの欲があるわけでもなく己の情念のままに慈海を殺害し村人の葬儀に紛れ死体を始末する、
このシーンは凄いです、サスペンスフルな演出もさりながら深い穴に二人分の死体が入った棺桶がずしっと落ちるリアルさ。
出生の運命から逃れられない慈念は自らの始末を決意する。

若尾文子のけだるい女の魅力、ご出身は東京のようですが、京女が似合っていました、言葉も自然で、、妖艶さでした。
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