クドゥー

Mank/マンクのクドゥーのレビュー・感想・評価

Mank/マンク(2020年製作の映画)
4.0
『エンドクレジットには、全員で生んだ証しがある』

映画史に残る名作「市民ケーン」の脚本家の創作過程を描くデヴィッド・フィンチャー監督作品は、一人の男がハリウッドでの経験を作劇に昇華させた知られざる偉業によって、あらゆる創作は選ばれし創作者を根源としてのみ生じることを痛感するヒューマンドラマの傑作。

固有名詞だらけの圧倒的情報量が政治活動でまとまりをみせると一気に物語に引き込まれ、業界がプロパガンダに用いられることに対し一人だけ違う方向を向いているマンクの姿を通じて、何故アルコール依存症でくすぶるこの男が選ばれし主人公なのかを知ることになる。

例によって見たことないけど本人にしか見えないというゲイリー・オールドマンの類稀なる演技力、当時の女性に求められた役割という制約の中で彼と対等に渡り合う女性たち、センスの塊みたいな映像と音響の総合芸術で彩られる光と影に映画的多幸感しかないのである。
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