悪魔の毒々クチビル

ハロウィン THE ENDの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

ハロウィン THE END(2022年製作の映画)
2.0
「シャツを失くしました」

ブギーマンvsローリーの最後の闘いを描いたお話。


2018年から新たに再開した「ハロウィン」シリーズの完結編。もう終わったのかと思うと、時の流れってあっという間よね。
公開当時からフォロワーさん方の低評価レビューで作風の変貌ぶりに「あ、これは見放題になってからで良いヤツだ」と察してはや半年ちょい、遂にアマプラで見放題配信されました。
そんな訳で作品の方向性とかも分かっていたし期待もしていなかったけど、過去2作も観たし一応好きなシリーズの完結編ってことでボケーっと観てみました。

おぉ、やっぱつまらんな。

まぁ何処が嫌いかは観る前から予想出来ていたけど、これは酷いと言うよりイタい。
これ迄のマイケルの所業により街全体が陰鬱な雰囲気に包まれるっていうのは分かるんだけど、そんなもんはあくまで副産物であってそこを重点的に描かれても「スピンオフドラマでも作ってやればいいじゃん」としか思わないです。
そして一番不評だった、マイケルに代わって闇墜ちするコーリーとかいう青年を掘り下げていく展開も思いの外クソでした。そもそも誰よ君。
ここにローリーの孫娘アリソンが信じられない速度でコーリーに惚れるしょうもないくだりまであるんだから、そりゃしんどいわな。
しかも境遇だけで勝手にシンパシー感じて相手の人間性を全く見ようとしない、盲目ラブにはこっちも引きますて。
アリソンに至ってはシリーズ通して良い印象が無いまま終わったような気がします。

コーリーに関する展開はこの恋愛劇含め全てが性急で、たまたま遭遇したマイケルに感化されるシーンもちょっとスーパーナチュラル的な勢いでしたしそのまま当たり前のように殺人に手を染める流れも、違和感バリバリ。
そんなコーリーに「マスク寄越せ!」と襲われあっさり奪われるマイコーさん……
個人的にはマスク着けてから急に姿勢や歩き方まで本家に似るコーリーが激イタで、ゾワッとしました。
本家マイコーばりにバイオレンスな殺しが出来ているのも良く分からん。

そんなイタい方のブギーマンを散々持ち上げておいてあの呆気なさっていうのはね、場合によっては笑えるけどクソ寒い自称サイコパス男の恋愛劇やらなんやらを長いこと見せ付けられた身としてはさ、マジで無駄な時間だったなと。
やっぱ何処かスピンオフ作品を観ているような気分でした。

せめて「この作風の変化自体を受け入れることさえ出来ればダークなスラッシャーとしては良く出来ている」と思えるような内容だったらまだ褒めようはあったんだけどさ、びっくりするくらい薄っぺらかったからダメだこりゃ。
ちょこっとあるゴアシーンも別に評価が跳ね上がる程でも無かったし。

ただ唯一良かった所は決着のつけ方。
そうそう、こう言うスラッシャーの殺人鬼相手ならここまでやるべきなんですよ。と漸く頷けるオーバーキルっぷりは、素直に素晴らしかったです。
まぁその気になれば「あれは別人でした!」と言い切って、続編作ろうと思えば作れちゃうのがホラー映画の恐ろしい所ではありますが。

これだったら2作で終わらせた方が良かったんじゃない?
シリーズが進むに連れ設定そのものが無かったことになった続編の中で4~6は観ていないけど、これとどっちが駄作なのかは気になるね。確かめようとは思わんけど。