すずき

ハロウィン THE ENDのすずきのレビュー・感想・評価

ハロウィン THE END(2022年製作の映画)
3.7
前作から4年後。
ハドンフィールドの街を恐怖に染め上げた殺人鬼・マイケルはあの後、姿を消した。
ローリーとアリソンは、「砦」でも「罠」でもない新居を構え、穏やかに暮らすはずだった。
だが、この街に根付いた邪悪は消えず、毎年ハロウィンの夜に何らかの悲劇が起きていたのだった。
青年コーリーもそんな悲劇に巻き込まれたうちの一人で、彼は事故によりクソガキを殺してしまう。
裁判では無罪だったが、街の人からはサイコパスと言われ、好奇と恐れの目にさらされ続けていた。
アリソンはそんなコーリーに好意と共感を抱き、グイグイ言い寄るのだったが…

ハロウィン新三部作の完結編。
マイケルとの因縁も完全に決着。あれで復活出来たら、魔人ブウ並みの再生力なので、続編でマイケルが復活!という筋書きはほぼ不可能だ。

スラッシャー映画として割りかしオーソドックスな「ハロウィン(2018)」。
そこから一転、大衆の「正義」の暴走を描き嫌~な気持ちにさせてくれた「ハロウィン KILLS」。
それに続く本作も、邪悪とそれに抗う者の観念的な戦いを描いた、スラッシャー映画としては異色な作品。
異色作で受けが悪そうな題材だけど、私はこういう形で完結を迎えるのも嫌いじゃないかな。
アリソンの境遇があまりにも可哀想過ぎるのが心残りだけど。

しかしハドンフィールド、クズが多すぎだ。杜王町かよ。
危機感もゼロで、あんな事件があって犯人が捕まっていないのにハロウィンパーティーは絶対やめないし、家に鍵も掛けない。
劇中では、マイケル事件の影響で街全体にブギーマンの呪いがかかったように邪悪が蔓延している、とは言われている。
だが、もはやマイケルひとりを諸悪の根源として片付けた所で、この街は変わらないだろう、と思う。
そういう意味では「イニシェリン島の精霊」のような村社会の閉塞感を感じた。
アリソンもコーリーも、そしてローリーももっと早くにこの街を出るべきだったのでは。