mさん

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバーのmさんのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

チャドウィックさんの件があって
本当に色々大変だったと思うけど
しっかりとこうやって完成して
準備不足な感じもしない作品ができたのは素晴らしい。まずはみなさんお疲れ様でした。ありがとう。といいたい。

今回ティチャラがいなくなってしまい、
その後の残されたものがどうやってワカンダを守っていくかが描かれる。また次のブラックパンサーが誰になっていくのかという継承の物語もあるのでしっかりとブレないドラマがあるのがよかった。あと続編の要素として前作の否定という要素がある。(例えばロッキー1は勝つことにこだわらないラストだけど2とかはしっかりと勝つことが重要なドラマになってたりする)

それでいうと今回は主役の不在はもちろんのこと
前作にあった「死は終わりじゃない」「心では繋がっている」といったスピリチュアルな死生観を割と否定的に切り込んでいるのが凄いなと思った。シュリは冒頭のティチャラを救えなかったことで、 必要なのは人の想いじゃなくてテクノロジーだとテクノロジーに傾倒していく。お母さんに前作の教えを言われても全くシュリには響かない。これはシュリだけでなくメタ的に見たらチャドウィックさんを失った監督の気持ちとしても見ることができて物凄い胸が痛くなった。
フィクションの世界では役者としては生きてるし、編集で再会できるけど、
ノンフィクションの世界で
いなくなってしまったら、どう頑張っても会えないという切なすぎる事実に監督がずっと苦しめられている気がして切なくなった。

世界を燃やしたいというシュリが
そのまま監督の言葉とリンクして伝わってきた。
前作のかなり重要な部分に
監督自身否定的になっているのが切なくもあり、続編としてしっかりと意味があると思った。

しかもこの故人をどう自分の中で処理して前に進むかというテーマはまさにブラックパンサーとしては王道の展開でもあるのが凄い。
「キャプテンアメリカシビルウォー」で父親を殺されたティチャラの状況と母親を殺されたシュリがリンクしてしっかりと乗り越えていく様子が物語として綺麗だなと思った。

ただ今回シュリがブラックパンサーになった瞬間も復讐の力に囚われているのが少し噛み合わせが悪いなと思った。それは観客が次のブラックパンサーであるシュリが出てきた瞬間、又は戦ってる瞬間は「待ってました!ワカンダの守護者ー!」って盛り上がりたいのにシュリがバリバリブラックパンサーの力を復讐の力に使ってるから盛り上がれないから。初戦は適当なやつを復讐パワーで倒すけど、上手くいかなくて、ラストのクライマックスバトルの時、「ワカンダフォーエバー」の掛け声を言う際には正義の心になっていて欲しかった。
今回ただでさえブラックパンサーの登場を意識的にギリギリまで焦らす構成にしているので、その大事な登場シーンはもっと熱くなりたかったなと思ってしまった。

あとオコエが自分は好きなんだけど、
今回オコエの扱いが可哀想だった。
最後しれっと復活してるので
じゃあなんであんなことになったんだと思ってしまった。

あとワカンダが国際社会でどうなっていくのかが最後おざなりになってるのもよくわからなかった。

ただ前作よりは共感もできたので
こんな感じ。
mさん

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