kkkのk太郎

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバーのkkkのk太郎のネタバレレビュー・内容・結末

2.8

このレビューはネタバレを含みます

スーパーヒーローが一堂に会するアメコミアクション映画「MCU」シリーズの第30作にして、ワカンダ国の守護神ブラックパンサーの活躍を描く『ブラックパンサー』シリーズの第2作。

海底帝国タロカンの脅威がワカンダを襲う…。

監督は前作『ブラックパンサー』(2018)からライアン・クーグラーが引き続き務める。

○キャスト
エヴェレット・K・ロス…マーティン・フリーマン。
エリック・キルモンガー…マイケル・B・ジョーダン。

製作はケヴィン・ファイギ。

👑受賞歴👑
第95回 アカデミー賞…衣装デザイン賞!
第80回 ゴールデングローブ賞…助演女優賞(アンジェラ・バセット)!
第28回 放送映画批評家協会賞…助演女優賞!

うーん…。
ライアン・クーグラー監督のファンなので応援したいし、本作の制作を待たずして急逝したチャドウィック・ボーズマンを悼みたいというマーベル側の気持ちもわかる。
しかし、この映画は純然たる失敗作ではなかろうか?
正直言って、MCU全30作品中ワーストと言ってもいいくらい楽しめなかった🌀

まず言いたいのは、物語の入り口から出口へと向かう過程でなにやら齟齬が生じてやいませんか?ということ。
入り口→王女シュリが急逝した兄ティ・チャラの死を受け入れられない。
出口→シュリがティ・チャラの死を受け入れられるようになる。
この二つはガッチリと一致しているのです。それは良いのです。

問題はここから。彼女は兄の死を受け入れるまでの過程で、タロカンの王・ネイモアに個人的な復讐をするために2代目ブラックパンサーとなる。
ブラックパンサーの継承、つまりはティ・チャラの意思を受け継いだかのように見えるこの展開だが、冷静に考えると筋が通っていない。
だって、ネイモアは母親の仇なのであってティ・チャラの仇じゃないんだもん。
ネイモアがティ・チャラを殺害していた、とかなら物語的に違和感はないのだが、全くの無関係であるネイモアを倒し、そしてそれを許すことによってティ・チャラの死を乗り越えるというのは、なんかおかしくないっすか?

クライマックスでのシュリの涙。チャドウィック・ボーズマンの生前の姿が回想されるのは確かに感動的だが、あそこ物語的に考えるなら母親の姿がフィードバックされないとおかしくない?

事程左様に、チャドウィックの追悼と映画の内容をゴッチャにしてしまった結果、何やらようわからん作品になっちゃってる。
お馴染みMCUのオープニングロールをチャドウィック仕様にするという、スタン・リー死去の時と同じ演出を行ったのだから、追悼はそれで終わりで良かったのではないかと思う。こっちは映画を観に来ているのであって、葬式に参列してるんじゃないんだからさぁ〜…。

低温の物語を3時間。流石に長くてダレる。
2時間過ぎたあたりから何度時計を見た事か。
長過ぎる尺にもかかわらず、新キャラクターのアイアンハートやエヴェレット・ロス&CIA長官ヴァルなどに関しては完全に描き込みが不足している。
特にロスとヴァルに関してはマジでなんの為に登場したのか意味がわからん。こいつらの出番カットしたら15分くらいは短くなったんじゃない?

海底帝国タロカンの描き込みも甘い。
どう考えても全世界を相手取って戦争を仕掛けられるほどの戦略も戦力もないでしょ!?地球を飲み込むほどの特大津波を引き起こす事ができる装置がある、とかいう設定だったらまだ話はわかるんだけど…。ご時世的に無理だったのかな?
そういえば、あの急速治癒能力は何なの?タロカン人の体質?でも銃で撃たれたお姉さんは死んじゃったしなぁ。

終始画面が暗かったのも気になるところ。ただでさえ辛気臭い物語なのに、画面の暗さがそれに輪をかけている。
タロカン人の初登場シーンが暗過ぎたのは本当に勿体無い。あの青い肌はかなりのインパクトがあると思うのだが(ちょっと『アバター』に似ているのはご愛嬌😅)、画面の暗さによってヴィジュアル的なインパクトが完全に薄れてしまっていた。

なんで水中特化型のタロカン人に水上戦を挑むんだよとか、砂漠の場所都合良過ぎだろとか、ティ・チャラJr.のことをシュリにまで黙っていたのはなんで?とか、なんか気になるポイントも多々ある。
けど、一番気になるのは終始ヒスってた王女ラモンダ。戦争の原因はこの人の外交力不足とヒステリーのせいだったような気がする。
このキャラクターに全く好感が持てなかったため、全然ワカンダを応援する気になれなかった。
民草を家族の都合に巻き込むなよ!😡

全体的に粗い作りの映画だというのは疑いようもないが、唯一良かったのはキルモンガーの登場シーン!
いや、やはりマイケル・B・ジョーダンは華がある🌸
他のキャストと比べてもスター性が段違い!
前作で死んじゃったキルモンガーだが、今のMCUはマルチバースのおかげでなんでもありなんだから、別世界のキルモンガーがやってきて彼がブラックパンサーを継ぐという展開でも全然よかった…というか、そういう映画が観たかった。
もしくはハーブを飲んだ副作用でシュリの中にキルモンガーの人格が生まれてしまい、『呪術廻戦』や『チェンソーマン 第二部』のような展開になるとか、そういうのが観たかった、なぁ…。

制作直前での主演俳優の急逝という悲劇の中、よくぞ映画を完成させた!という気持ちはある。
映画の出来が粗いのも、よっぽど時間が無かったんだろうなぁ、と察しはつく。
まぁでもそれは観客側には関係のない事なわけで、一観客としてはもっと面白い映画が観たかったというのが本音。

なんでもこの作品で「フェーズ4」完結らしいじゃないっすか。
結局フェーズ4ってなんだったのか?物語を広げるだけ広げて、全く先に進まなかったんだけど…。
これ製作サイドにちゃんと全体像の構想があるんだよね?打ち切り漫画みたいになりそうな予感がヒシヒシと…。
なんにせよ、これでフェーズ4終わりというのはなんか物足りない。やっぱりフェーズの終わりには『アベンジャーズ』をやって欲しい。
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