第三者の視点を組み込んだ群像劇の完成形。ある女性が試合会場から出ていくまでを追っていたカメラが、次に復帰戦を控えているため会場入りする元チャンプへ(二人がすれ違う瞬間に)視点がワンカットで唐突に移る、フライシャーの話法が強かに組み込まれていた。

大衆ボクシング会場でボクサーのサポートをするオヤジ・ダニーが主人公。
集うボクサー５人それぞれのドラマ。
なかなか見応えありだった😳。

勝っても哀愁漂う。
返り咲くためにギャングの力を。
八百長で意図せぬ結果に。
ただただ気楽に楽しむ。
頭が弱くこれに才能を見出す。

それぞれ。

サスペンスフルな緊張感あるシーンがあったり、痛々しく悲しい末路だったり、ちょっとした笑いもあったり、面白かった😊。


成れの果て。
ラストのダニーの表情がまたいろいろ思わせる。
噛みしめれば噛み締めるほど、あーいい映画だったなあと感じる。

それぞれの事情で同じリングに立つことになったボクサーたちの1日の人間模様を彼らを世話する人間の側から描いたオムニバス形式のドラマ、イギリス製だけあってシニカルさと厳しくも醒めた人間描写が冴えておりそれがハリウッドスタイルのボクサー映画とはひと味も違うビターなドラマになっているのが嬉しい。強いていえばロバート・ワイズの『罠』に近い気もするけれど、希望の光が微かにあったあちらとは違いこちらは人生の残骸。

様々なドラマが起きたにも関わらず何事も無かったかのように試合が終わり会場の明かりが消えていくラストがクール。

終始本ばかり読んでずれた発言ばかりするマイペースなボクサーは最初ちょっとウザイけれど最終的には癒しのような存在に。