ユウサク

ダニエルのユウサクのネタバレレビュー・内容・結末

ダニエル(2019年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

字幕と吹替で一回ずつ。吹替制作はクラファンみたいで250人の出資者から250万が集まっててすごかった。DVDでは出資者クレジットが出るらしいけどU-NEXTでは流れず。てかこれDVDスルーなの勿体ないな。ビジュアル凝ってるからせめてブルーレイじゃないと。

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独特なドライブ感と温かさが刺さった。

冒頭の気色悪いタイトル(うわ、文字になってる!と気づかせるタイミング)と禍々しいビジュアル、子どもダニエルと大人ダニエル両方の登場の仕方でまず100点。思ったよりパトリック・シュワルツェネガーの声が低くて、顔立ちは端正なのに感情が読めない感じとぎこちない身体の動かし方とかなんかツボで、後半ああなるまではずっとダニエルが画面に映る度に面白い。この作品で初対面なので、あえてやってるのか技量の問題なのかわからないけど(人の殴り方とかかなり変だった)とにかくこの映画にはバッチリハマってた。そんなに着替えなくていいだろってくらい衣装変わるのも良かった。
映画全体をモヤに包む感じのストリングス+シンセ劇伴も好きだった。調べたらプロデューサー陣が「マンデイ 地獄のロード・ウォリアー」「カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇」とか、いわゆる「ニコケイ紫映画」と被ってた。パトリック・シュワルツェネガーもニコケイ演技を参考にしたとのこと。でもこの映画であそこまでオーバーにやったらちょっとハマらなかった気もするし、今回ので正解。「カラー〜」も見ないとな。

色々とありきたりな話運びとか設定だとは思うけど、前述のビジュアルとかスプラッターチックな身体破壊描写とかクライマックスでのブチ上がる「決闘」とか、そういった要素で十分面白く見られる映画だった。「呪い」みたいな要素はあくまで「この世にはそういう目に見えないパワー的なものもあるかもしれなくないですか?」くらいの観念的な捉え方でいいと思う。誰かにとってのトラウマがさらに誰かにとってのトラウマを生んでる、くらいの。

ソフィと一戦交える時にソフィがコンドーム取り出してて、こういう描写入れるのはすごい良いと思うんだけど、もうこの段階では自我が飲まれちゃってるので、ダニエルがそれを受け入れるのはちょっと変な気が。どっちかっていったらキャシーとの時にそういう描写入れるか、両方にそういう描写入れてソフィの方ではダニエルに拒ませるとかした方がもっと2人の性格を相反するものとして描けたと思う。

個人的には精神疾患にかなり偏見の強いシャマランの「ヴィジット」で精神疾患患者を演じたピーター・マクロビーが、ある程度は疾患に寄り添ってるこの作品にキャストされてるのが良かった。この映画も実際に疾患を持つ人が見たらどう思うかはわからないけど、精神疾患をただただコミュニケート不能な存在として描いてた「ヴィジット」なんかよりは断然マシだと思う。
ただ結局死なないといけないのかっていう、そういう結末にもなっちゃってるしなー、うーんこの辺に関しては「ダニエル」も微妙っちゃ微妙か……???悩ましい。
ユウサク

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