このレビューはネタバレを含みます
養子縁組をした親子、夫婦の関係性を柱にして、アメリカ社会に根深い人種差別や精神障害者への偏見、またこれはアメリカのみならず、人間社会すべてにおいてつきまとう、できる者に対する嫉妬と、論点が多岐に渡る作品ですね。
養子親子間の葛藤や苦悩がなかなか興味深く描かれています。お互いに信頼しようと努力はしていますが、ちょっとしたことで不信感が出てきてしまう。血の繋がった親子でもよくありがちなことではありますが、養子となるとまた微妙に違う空気感があるのでしょう。
そのあたり、よく表現されていたと思います。
夫婦間でもまた、息子に対する気持ちに
微妙な違いがあって、その溝を努力して埋め合っていこうとしているのは好感が持てました。
会話がみんなウィットに富んでいて、会話劇としてもおもしろいです。ああいう会話がしたいものだと、思わず憧れますね。
結局、誰が放火したのかはあまり焦点にならない、もっと根源的な部分が問われた良い作品だと思います。