しゅんまつもと

hisのしゅんまつもとのレビュー・感想・評価

his(2020年製作の映画)
3.6
瞬間的におおっ!となるところはあったけど全体としてはかなり冗長に感じてしまった。卵を使った演出はちょっとくどすぎるし、絶対もっとスリムに描けるはず。120分がかなり長く感じた、ということは自分にとってはけっこう退屈な瞬間が多かったのかな。

ラストのある人物の一言からの空撮はむちゃくちゃ良くてそれに尽きるような。
車内/車外を分けたカメラワークがところどころ面白いのも魅力のひとつ。カメラだけが車内に残って運転手が降りていくところとか、車内にいる迅と美里は交われないのに、窓を隔てた車外にいる渚とは繋がっているシーンとか。迅と渚、迅と玲奈の会話を時系列を飛ばしてカットバックで繋ぐところも良い。

同性愛については、日本の作品の中では最も真摯にかつフラットに描かれていてやっぱりそれだけでもこの映画がある意義があるように感じた。
これまでの今泉作品は「好き」を中心に描いていたけど、今作は「好き」がドーナツの中心になっていて、その周りを描いているように思えた。直接「好き」とはなにかを描かなくてもその周りを語っていけば空白の中心が浮かび上がる、というのが新しい発見。