ネネ

禁断の惑星のネネのレビュー・感想・評価

禁断の惑星(1956年製作の映画)
4.2
23世紀人類が太陽系に進出した未来。
円盤型をした「宇宙連邦船C-57-D」は地球を離れること1年、特別任務のため、地球とよく似た環境を持つアルテア星へと降り立った。
砂埃をまき散らし、自動車に乗って、船長アダムス(レスリー・ニールセン)たちを迎えに現れたのは、二足歩行ロボット・ロビー。

映画を観た目的はこのロビー。
R2-D2のモデルとなったロビーは、ロボット好きの心をくすぐる、とても愛嬌のあるキャラクターでした。
映画のパッケージに載っているのがロビーです。
低い声を持ち、紳士的な口調で話すロビーは、料理を作ってくれたり、コーヒーを入れてくれたり、時にはお花を活けたり。
家庭的なロボットで、癒されます。
それに何より、丸みのあるデザインと、耳の横のくるくる回るアンテナ。
古い時代のレトロなSFイメージという感じで。
もう今の時代では作れない雰囲気を、存分に楽しめました。

ロビーを作ったのは、この星に移住した言語学者モービアス博士(ウォルター・ピジョン)。
アルテア星には文明の跡がなく、人間もモービアス博士と娘のアルタ(アン・フランシス)しか存在していません。
博士と共に宇宙船に乗っていた人類は皆、アルテア星について最初の年に死亡。
厳重な警備にも関わらず、一人ずつ「見えない悪魔」によって引き裂かれて死んだ、とモービアス博士は言います。

「見えない悪魔」の脅威の背景には、20万年前、高度な文明を築くも一夜で滅びたという種族「クレル」の謎が潜んでいました。
心の中に自分の知らない悪魔がいたとしたら……。
人が望む夢や希望は、すべて美しくまっとうなわけではなくて、叶えたい願いの中には、醜い憎悪も含まれている。それを改めて思い出しました。

映画を見ながら、コンラッドの『闇の奥』が過ぎりました。
未開の土地の王者でいること、その恐ろしい誘惑。
閉じた世界で生きていた人が、侵入者によって、強引に目を覚まさせられる。
この結末をハッピーエンドと言い切るのは、傲慢な気もして、まだ迷っています。
叩き起こす必要があったのか、という問いについて。
ネネ

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