木蘭

プライベート・パーツの木蘭のレビュー・感想・評価

プライベート・パーツ(1972年製作の映画)
3.6
 ロスに出てきた家出娘が、おばさんが経営しているホテルに転がり込んだら、そこは奇人変人の魔窟でした!・・・という話。
 70年代のアメリカっぽい錆びた様な、すえた様な臭いがスクリーンから漂ってくる場末感溢れる映画で、粗や矛盾、突っ込みどころは満載ながら、一瞬一瞬は驚くほど印象的でスタイリッシュだったりするので侮れない。

 例えば、あの血液を注射器で挿入する行為は、不遇なトランスジェンダーのSEXの代償行為なのか、はたまた自分が成りたくても成れなかった存在に同化しよう、憑依しようという行為なのか・・・さらにはのぞき見をしている時の興奮は、欲情なのか、はたまた嫉妬なのか・・・などと考えると夜も眠れなくなるが、印象深く忘れがたいシーンなのは間違いない。

 例えば、マーサおばさんがネグリジェで廊下を疾走するシーンは思わず笑ったとか、アル中の部屋の荒れた演出が雑きわまりない・・・けど、ジョージの部屋や写真は驚くほどスタイリッシュ!とか・・・落差が凄い。

 恐るべきは、老けているのか幼いのか良く分からないけど可愛い気もする(70年代っぽい)顔立ちのヒロインが、ここ一番でオシャレをした時の震えるほどのダサさが凄くって・・・あれが田舎から出てきた娘を表現しているのか、はたまたあの当時はあれが"洒落乙"だったのかは、今となってはもう分からない・・・。
(それと、あの汚れた浴槽に良くつかる気になるなぁ・・・とか)

 なんだか分からないが、もう一度観たい!そういう映画です。
木蘭

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