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愛の小さな歴史 誰でもない恋人たちの風景vol.1のeyeのレビュー・感想・評価

3.5
愛の小さな歴史 誰でもない恋人たちの風景vol.1(2019)

去年K's cinemaによく通ってた10月頃に公開されていた映画

結局なんだかんだで鑑賞しませんでした。。。

この映画が公開されるちょっと前に・・

「ゆうなぎ」というムーラボ映画が上映されていて
その舞台挨拶のために来場していた瀬戸かほさんをK's cinemaのロビーで見かけたけど、、

姿かたちはまさにこの映画通りの感じで優しそうな雰囲気をかもしていたのは何となく覚えてる (そして背が高かった)

この映画のインスピレーションには作家・詩人ゲーテの「西東詩集」その詩編の中の「ズライカの書」が ベースにある

「ズライカの書」にはゲーテの年下の友人ヴィレマー・後にヴィレマーの妻となるマリアンヌとゲーテ の3人の人間模様が描かれる

若いマリアンヌとゲーテは恋人関係になったが1815年に別れて以来2度と会うことはなかったという逸話がある

この映画は東京の下町の古本屋を軸にユリ・トモ・リュウタの3人の人間模様が描かれている

トモに慕われていたので結果的に夫婦になった

だけど

愛情というよりも同情で一緒に過ごしていて
実際好きでも何でもないからユリは常に空虚

相手への気遣い・自分のホントの気持ちを偽ってるからとてつもない疲弊感を漂わせている

ユリは心ここにあらずな様子に加え
元々が心に大きな穴が開いている様子がわかる

そこに弱視のリュウタに引き寄せられユリの移り変わる心が描いている

ストーリーとはまったく関係ないけど・・・

この映画を観終わったあとに
Mr.Childrenの曲が思い浮かんでしまって

というのも

「youthful days」という曲の歌詞とこの映画の世界観を妙に想起させたシーンがある

それは曲の2番で描かれていて

夜にサボテンが赤い花を付けたのを喜んだのも つかの間 朝には枯れてしまって(女性が)花びらを撫でてるところに(男性が)セクシーさを感じるという歌詞

映画では逆で弱視リュウタを演じる深水さんが花びらを撫でるシーンがあるんだけど・・

これが尋常じゃないくらいセクシーなシーンで思わず釘付けになってしまった

花びらを撫でる仕草がまるで人間に触っているかのようなあの動き・・

さすが俳優さんだと思わず感嘆してしまった・・

心が埋まらない様子を感情のアップダウンで演じた瀬戸さんの演技を軸にして

濡れ場そのものよりも全身から湧き出る虚無の演技と迫力・表情が凄まじかった

喪失感や歪な形での人間関係
虚無感や孤独感に支配されている

だけど

3人それぞれの立場からの群像劇でもあってエモーショナルでもある

映画からはどこまでもいっても埋まらない寂しさを感じてしまった
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