シネスコの画角の広さを活かしたダイナミックな戦闘シーンだけでも観る価値はあった。しかし良くも悪くも『シン・ゴジラ』ほどのドライブ感はなく、これが老練なのか萎縮なのか判然としないがとくに後半の物足りなさは(ウルトラシリーズに明るくない者からすれば)やや残念。あの異常なエネルギーを保ったまま怪獣にむかってゆくスペシウム光線をもっと観ていたかった気持ちがある。本家のオマージュをベースにしつつ、嫡子であるデビルマンもガンツも進撃も(もちろんエヴァも)逆輸入して一緒くたに呑み込んでしまったかのようなとっ散らかりっぷり、これは庵野・樋口の作家性らしいと言えばらしい……。