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シン・ウルトラマンのmarohideのレビュー・感想・評価

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
3.0
 なぜだろう、作中の人々の台詞回しに若干の拒否反応が出てしまった。シン・ゴジラの掛け合いの雰囲気は好きだったんだがな。今作の会話は些か鼻につく部分が多かった気がしてならない。映画自体は面白かったがこれが原因で前のめりになれない感覚があったのは少し残念だ。

 ウルトラマンの動きが明らかに人智を超えていて、気味が悪くて良かった。原作のウルトラマンをほとんど観ていないのも理由だろうが、最後まで高速回転やスライドするような横滑り運動に見慣れない。改めて観察するとウルトラマン自体の造形も異常に見える。終始この世ならざる者としての説得力があった。

 上位存在に好き勝手される感じや宇宙規模の理不尽な危機はコズミックホラーのそれに近い。ウルトラシリーズにはルルイエやガタノソアも登場するらしいが、なるほどこの世界観なら彼らも出るだろうと合点がいく。外星人の行動原理や振る舞いには参考になりそうな部分が多かった。

 ウルトラマンらの人類に対する関わり方からずっと「幼年期の終わり」を連想していたが、最後のゾーフィとの会話で“幼い”というワードが出てきて偶然ではないと確信に変わった。確かにこの映画を観終わったあと残った感情は、「幼年期の終わり」のほろ苦い読後感に少し似ていた気がする。
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