あんず

1917 命をかけた伝令のあんずのレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.5
こんな状況下でも小鳥は囀ずり花が咲く。
そして、こんな状況下だからこそ兵士たちは歌に耳を傾ける。

戦争映画は苦手なんです。
でも、とても素晴らしかった。
涙が止まりませんでした。

サム・メンデス監督のお祖父さんの話を基に映画化。
素晴らしい映像で、戦争の側面に見え隠れする人生を戦争を知らない世代に伝えてくれる孫がいて幸せだ。

ワンカットという謳い文句と豪華俳優に惹かれて観ましたが、そんなこと早々にどうでもよくなってしまいました。

いくつかの長回しを繋ぎ合わせた撮影方法から生まれた臨場感。
そしてリアリティ。
どこから撃たれるか分からない恐怖。
迫ってくる時間。

生きて、生きて、と祈るばかりでした。

戦争で見えてくるもの、戦争で見失うもの、伝令のためだけに命懸けで向かう先にドラマと葛藤がありました。

予告でも流れていますが、爆撃が降り注ぐ草原を駆け抜ける彼の真っ白になった顔が今でも目に焼き付いて離れません。
そしてその足元には小さな花が揺れているのです。

彼は何を思いながら歌を聴いていたのでしょう。
曇った空がとても寂しくて、思い出してはグスグスと鼻を鳴らしています。
あんず

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