「友よ、お主が生きる未来をこの目で見てみとうなった！」
めちゃくちゃ良かった！
「鬼太郎」をしっかり見たことはなくて、主要キャラを知っている程度の私がこの映画を観に行こうと決めたのはSNS上でものすごく盛り上がっていたから。
みんなが観に行くことを入村って言っているのもなんだか面白い。
原点にして最恐──鬼太郎の父がなぜあの姿なのか、鬼太郎がなぜ人間を助けるのか、この最恐な世界から始まる物語に何度も泣いた。
閉鎖的な村で蠢く邪なもの。
人間が作り出す怨念と妖怪。
霧とタバコの煙に見え隠れする仄暗い世界に惹きつけられる。
鬼太郎の父の戦闘シーンがかっこいいのは言うまでもなく。
人間と幽霊族の心が通じる瞬間のゾクゾク感がたまらない。
「目」には「右目は過去、左目は未来」という意味があるそうだ。
戦争により未来を失いかけた男は左目に傷を持ち、未来を見たいと願った男は左目を依代とする。
「目」に注目すると、登場人物たちの心情や行く末が見えて面白い。
そして忌むべき血と絶たれようとしている血の因縁は、あのふたりがこの場に居合わせなければ、それぞれの運命を全うしていたかもしれないと思うとそれは流血シーンよりもグロテスクに感じられる。
昨今のアニメ映画の作画に比べるとどうしても見劣りしているように思えてしまうが、画面から伝わる昭和の雰囲気や「エモさ」はこの作画であるが故、それが鬼太郎の生まれる前の世界観を作り上げているのかもしれない。
SNSでは入村したが最後、戻って来れない人々が後を絶たないそうだ。
人口も増え、そろそろイオンも建つと聞いた。
私も新たな発見を求めてまたこの村に足を踏み入れようと思う。
